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安田 健一郎; 宮本 ユタカ; 間柄 正明; 木村 貴海
no journal, ,
保障措置環境試料分析において、バルク分析・ホットセル分析は、試料を化学処理した後にICP-MSやTIMSによる質量分析を行っている。また、パーティクル分析やFT-TIMS分析は、試料から粒子を回収した後、SIMSやTIMSにより質量分析を行っている。このように、保障措置環境試料分析における極微量分析技術は、質量分析技術によるところが大きい。この質量分析は、元素を分析しているわけではなく、文字通り原子核の質量を分析しているため、他元素との分子イオンや化学的・物理的なマトリックス効果による妨害が無視できない。このため、試料に含有される分子イオンなどの原因となる元素をあらかじめ測定し把握しておくことが重要である。これまでにスワイプ試料上のウラン分布を測定するために蛍光X線装置に試料走査機能を付加した元素分布測定装置を開発した。本装置は、減圧せずに試料全体を測定し、付着する元素の分布を高感度で測定することが可能である。今回、ウランに対して検量線を作成し、実試料への適用性について検討したので報告する。
中野 政尚; 檜山 佳典; 渡辺 均; 住谷 秀一; 武石 稔*
no journal, ,
東海再処理施設からの放出排水分析に用いるSr及びSr分析法として、線最大エネルギーの違い(Sr: 1.495MeV, Sr: 0.546MeV, Y: 2.280MeV)を利用して、液体シンチレーションカウンタ(LSC)を用いた迅速分析法を独自に開発し、使用している。この方法は、Sr-Yの放射平衡を待つ必要がないため、比較的短期間で分析できる。この分析・測定法の再確認として、Sr及びSr標準溶液を用いたLSCの校正の検討、種々の放射性同位元素を用いた検討分析等を行った。本法による検出限界放射能は、分析回収率60%、測定時間100分間の場合で約0.25Bq/試料であった。供試料を400mlとすると、発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針に示されている測定下限濃度(710Bq/cm)を下回る検出限界値が得られ、排水分析に十分適用できる。また、Sr/Sr放射能比の異なる試料の測定では1:2020:1の範囲で10%以内の誤差であることが計算され、また、実験でも同様の結果を得た。本法は4日程度で分析できるため、原子力施設からの排水モニタリングにおいて、有用であると考えられる。
川崎 将亜; 渡部 陽子; 清水 瑠美
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環境試料中の放射性ストロンチウム分析において、試料中に多量に含まれ分析の妨げとなるカルシウムを分離する方法としてイオン交換法がある。イオン交換法においては、試料中のカルシウム含有量に応じてイオン交換カラムのサイズを適切に選択して分離を行えば、作業時間,コスト等の削減が期待できることに着目した。ここでは、代表的な環境試料であるシラス,カレイ,ほうれん草及び精米について、最適なカラムサイズ及び溶離条件の検討を行った。その結果、文部科学省放射能測定シリーズに示された標準的な分析法に比べて、作業時間が短縮でき、イオン交換樹脂量,溶離液に用いる有害なメタノールの使用量及び有機廃液量も大幅に削減できるカラムサイズ及び遊離条件を見いだすことができた。
國分 祐司; 中野 政尚; 住谷 秀一; 武石 稔*
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従来、環境試料中のIは中性子放射化分析(以下NAAと記す)を用いて測定してきた。しかし、NAAは検出限界がI/I原子数比で1010であり、表土等比較的フォールアウトの影響を受けやすい環境試料には適しているものの、沈着したIの地中や水系への移行挙動を調査するためには十分とは言えず、さらに高感度な分析法が必要である。そこで、NAAに比べて3桁程度検出感度が良いと報告されている加速器質量分析装置(以下AMSと記す)を利用したI測定を行うこととした。AMSを用いるにあたり、Iによる希釈法などの試料調製方法を含め検討した。また、AMSを用いて得られた測定値とNAAで得られた測定値の比較・検討を行ったので報告する。土壌添加法では、1点を除き、多少ばらつきはあるものの、AMSで測定した結果はNAAで測定した結果とほぼ同様の値となった。これは、燃焼前に希釈用Iを添加するため、燃焼時の損失有無(回収率)にかかわらず、安定した測定結果(I/I原子数比)を得ることができることを示唆している。浸出液添加法では、AMSで測定したI/I原子数比はNAAと比較し、全体的傾向としてやや小さめの結果となった。これは、試料燃焼時のヨウ素回収率が100%に達しないにもかかわらず100%と仮定し、NaOH水溶液浸出後に希釈用Iを加えたためと考えられる。以上より、AMSによる分析では、土壌添加法のように燃焼前に直接添加する必要があることが確認できた。
広瀬 彰; 米田 政夫; 木名瀬 政美; 反田 孝美; 佐川 尚司; 和田 茂
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放射性医薬品として核医学の分野で最も多く用いられているテクネチウム-99mの親核種であるモリブデン-99(Mo-99)は、ほぼ全量が5か国の試験研究炉で生産されているが、これらの施設は老朽化が進んでいる。Mo-99の安定供給は世界各国共通の課題であり、世界の全生産量の約14%を消費し全量を輸入に頼る我が国にとって、必要不可欠な量のMo-99を安定確保するため、Mo-99の国産化は喫緊の課題であると同時に国際的な責任を果たす観点からも重要である。このような情勢に鑑みて、照射後の処理等の面で利点のあるMo(n,)Mo反応を用いるMo-99の製造にJRR-3は可能かを技術的に検討した。Moは最大比放射能になる高密度三酸化モリブデンペレットを用い、現在の運転日程(26日運転)を変更せずMo-99を製造する場合と原子炉運転日程の変更も想定する場合について生産量及び比放射能量を検討した。結果は、運転日程の変更を想定して9日間照射(VT孔利用)とした場合が最大で212GBq/g-Mo, 133TBqであった。
渡辺 智; 橋本 和幸; 渡邉 茂樹; 飯田 靖彦*; 花岡 宏史*; 遠藤 啓吾*; 石岡 典子
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Luは、がん治療に適した線に加えてがんの体内動態をモニター可能な線を同時に放出するため、内用放射線治療への適用が有望視されている。われわれは、がんに特異的に濃集するモノクローナル抗体へLuを標識したLu-抗体を開発し、Lu-抗体のがん治療薬としての有用性を評価することを目指している。そのためには、高純度で無担体のLuが必要である。そこで、本研究では、Lu-抗体の合成が可能な無担体Luの製造法の開発を行った。濃縮YbOターゲットを原子炉JRR-3で照射し、Yb(n,)Yb(半減期1.91時間)Lu反応でLuを製造した。照射済みの濃縮YbOを塩酸で溶解し、逆相シリカゲルカラムにチャージし、あらかじめ不純物元素を取り除くために陽イオン交換カラム及びキレート交換カラムで精製した0.25M 2-ヒドロキシイソ酪酸(2-HIBA)/0.1M 1-オクタンスルホン酸ナトリウム(1-OS)を溶離液として用い、LuとターゲットであるYbとを分離した。分離後のLuフラクションを陽イオン交換カラムに通して2-HIBA/1-OSを完全に除去し、さらに残った不純物元素を取り除くために陰イオン交換カラムを通して最終Lu製品を得た。このLuを用いてLu-抗体の標識実験を行った結果、標識率は80%以上であることがわかり、抗体への標識が可能な高純度無担体Luの製造が可能となった。
渡邉 茂樹; 花岡 宏史*; Liang, J. X.; 飯田 靖彦*; 渡辺 智; 遠藤 啓吾*; 石岡 典子
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神経内分泌腫瘍にはノルエピネフリントランスポーター(NET)を高発現しているものが多く、ノルエピネフリン誘導体である[I]-m-Iodobenzylguanidine (II-MIBG)が神経内分泌腫瘍の診断さらには治療に利用されている。しかし、I-MIBG又はI-MIBGをトレーサとしたSPECTでは病変の数や転移部位を正確に把握することは難しいことから、I-MIBG治療の適応症例の判断や治療後の効果判定を行うには、解像度が高く定量性に優れるポジトロン断層撮像法(PET)の適用が望まれる。そこで神経内分泌腫瘍のPETによるイメージングの可能性を検討するため、ポジトロン放出核種であるBr(半減期=16.1時間, 壊変=57%)を標識したBr-m-Bromobenzylguanidine(Br-MBBG)を合成し、化合物の安定性試験、担がんマウスを用いた体内分布実験と小動物用PETによるin vivoイメージングを行った。その結果、Br-MBBGを標識率43%で合成し、血しょう中で24時間安定であることが明らかとなった。また、担がんマウスを用いた体内分布実験ではBr-MBBGが腫瘍特異的に集積し、その集積はMIBGよりも高いことが明らかとなった。小動物用PETによるin vivoイメージングを行った結果、腫瘍を明瞭に描出する画像を取得した。以上の結果より、Br-MBBGがPETイメージングに応用可能な薬剤であることが示された。
平出 哲也; Lee, J.
no journal, ,
水中で形成されるポジトロニウムとジェミネート対となっているのはOHラジカルであり、このジェミネート対はイオン化の際には一重項状態であり、その後、異なる環境でそれぞれ超微細結合によってスピン状態が変化していく。ポジトロニウムの電子はOHラジカル内の電子よりも非常に速く、10ps程度の周期で回転している。その際、OHラジカル内のプロトンのスピンの向きは上向きと下向きである確率が半々であり、よって、一重項と三重項の間の振動の周期はわずかに異なる周期の重ねあわせとなり、うねりを生じる。ここで、うねりの腹の部分で、速い周期で一重項になる場合は、うねりの節で振幅がなくなる場合よりもラジカル反応が進むと考えられ、その結果、うねりの節の部分ではラジカル反応と競争反応である、スピン交換反応の収率の増大が現れると予想される。18Cの水の測定結果には、上記効果のものと考えられる量子ビートが時間分解した消滅線のドップラー広がりに観測され、このビートから水中の短寿命ラジカルであるOHラジカルの超微細結合定数を測定することができるようになった。
平出 哲也; Lee, J.
no journal, ,
水中のOHラジカルの超微細結合定数に由来する量子ビートを、時間分解した消滅線ドップラー広がり測定で見いだした。18C, 25Cで測定し、そのどちらでも2種類の量子ビートを観測した。また、温度の上昇とともに、超微細結合定数は小さくなっていく傾向を示した。これらの結果は、水の構造として、2状態モデルを示していると考えられる。連続状態で存在しているとすると、OHラジカルの存在する各場所における構造は連続的に存在し、超微細結合定数も連続的に存在することとなり、ビートが観測できないことになるからである。これらの実験結果から、基本構造は2つ存在し、それぞれの構造は温度に伴って連続的に変化していることがわかった。
深谷 有喜; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
no journal, ,
高速の陽電子ビームが結晶表面に低視射角で入射すると、全反射を起こす。この特徴のため、陽電子は結晶表面に非常に敏感なものとなる。また陽電子は電子と同様に、結晶表面に入射すると電子励起やフォノン励起などさまざまな励起過程を経てエネルギーを失う。この陽電子のエネルギー損失過程は、特に全反射回折時において明らかになっていない。そこで本研究では、結晶最表面における全反射陽電子の非弾性散乱過程を調べるために、Si(111)-77表面からの絶対反射率,スポットプロファイル,エネルギー損失スペクトルを測定した。絶対反射率の測定から、陽電子の絶対反射率は電子に比べ1桁以上大きく、全反射条件であっても100%以下であることがわかった。また陽電子の鏡面反射スポットのプロファイルが、入射ビームに比べブロードになっていることを見いだした。エネルギー損失スペクトルの測定から、陽電子では2, 3回表面プラズモンを励起した損失ピークが強いが、電子では1回励起した損失ピークが強いことがわかった。解析の結果、陽電子の平均励起回数は2.6回であり、電子(1.4回)の約2倍の値であることがわかった。この結果から、陽電子は電子と比較すると、より多くの表面プラズモンを励起することがわかった。絶対反射率とスポットプロファイルの測定結果は、陽電子による表面プラズモンの多重励起によって説明できる。
山下 真一; 前山 拓哉*; Baldacchino, G.*; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
これまでケイ光プローブを用いた高感度OH収量測定手法を開発し、重粒子線照射に対して実際の測定を行ってきた。これをさらに拡張し、高エネルギー重粒子線のブラッグピーク近傍におけるOH収量を測定した。ブラッグピーク付近で収量が極小値をとること,加速エネルギーが異なると同一のイオンでも異なる収量となることなどが明らかとなった。
前山 拓哉*; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
これまでガン治療用高エネルギー重粒子線のブラッグピーク近傍におけるOH収量を測定してきた。本研究では高エネルギー重粒子線で顕著となるフラグメンテーション(核破砕)をシミュレーションにより評価し、これを元に測定結果を再現し、計算コードの検証を行うとともに各イオンの寄与がOH収量の点でどの程度あるのかについて検討した。
翠川 匡道*; 山下 真一; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 前山 拓哉*; Funtowiez, D.*; 上林 將人*; 安西 和紀*
no journal, ,
近年開発された新規スピントラップ剤CYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxy cyclophosphoryl)-5-methyl-1- pyrroline -oxide)はOHやOを捕捉し、そこで生成されるOH付加体とO付加体はESRにおいて異なる信号として観測できる。このためCYPMPOを利用することでOHやOを個別に定量できると期待されるものの、OHやOなどのフリーラジカルに対する反応性についてはまだ十分な精度で定量的に評価されていない。そこで本研究ではパルスラジオリシス法を用い、主要な水分解ラジカルである水和電子(e)やOHに対するCYPMOの反応性を調べ、標準的なスピントラップ剤である5,5-Dimethyl-1-pyrroline -oxide (DMPO)とも比較した。CYPMPOとDMPOの水分解ラジカル(OH, e)との反応における過渡吸収スペクトルに大きな相違は見られず、両者の構造の違いは吸光特性にはほとんど影響がないことがわかった。このため、CYPMPOとDMPOの水分解ラジカルとの反応性及び反応サイトは同様と示唆された。
田本 之博*; 坂本 裕紀*; 勝村 庸介; 堂前 雅史*; 芥川 大祐*; 大平 拓*; 久宗 健志*
no journal, ,
原子炉内の還元雰囲気を維持するために冷却水への水素添加が行われてきた。PWRにおいては高濃度の添加はSCC発生や進展の加速が指摘され、水素代替材添加剤としてアルコールやヒドラジンが検討されてきている。本研究ではヒドラジンの高温でのOHとの反応速度定数測定と、これらを用いた高温の放射線反応のシミュレーションを行った。反応速度定数の測定結果は150Cまではアレニウスの式に従いほぼ直線的に増加し、200Cを境に次第に減少し、275Cを越えると再び急激に増大していく傾向となった。高温水の放射線分解の反応リストとヒドラジンの反応リストを整備して、高温での放射線分解反応のシミュレーションを行った。この結果、OH, HO, O, Oの酸化性化学種濃度は、ヒドラジン1mM添加によって大幅に低下すること、水素とヒドラジンの等モル濃度添加を比較するとヒドラジン添加の方が放射線分解抑制効果が大きいことがわかった。
佐伯 誠一; 長澤 尚胤; 廣木 章博; 森下 憲雄; 玉田 正男; 工藤 久明*; 勝村 庸介*
no journal, ,
カルボキシメチル化多糖類は、高濃度水溶液条件下において放射線照射により架橋反応を引き起こし、ゲル化する。水の放射線分解ラジカルであるOHラジカルとの反応により生成する高分子ラジカルを同定することは、架橋反応機構解明において重要である。そこで本研究では、ESR法により生成ラジカル種を同定し、主鎖骨格の違いによる影響を検討した。試料にはセルロース,キトサン,デンプンのカルボキシメチル化誘導体を用いた。結果、各試料のESRスペクトルはおおむね類似し、TripletDoubletとDoubletの2つのスペクトルに分離した。解析により前者が6位に連なるカルボキシメチル基炭素上、後者が2位または3位に連なるカルボキシメチル基炭素上のラジカルであると同定した。以上の結果、主鎖骨格の違いによらず、OHラジカルと反応して生成する高分子ラジカルには、カルボキシメチル基炭素上ラジカルが存在することを明らかとし、架橋反応機構解明に有用な知見を得た。
山本 英明
no journal, ,
管理区域からの物品の持出に対する管理は、物品の表面汚染密度に対して設定された基準値に基づいて行われている。約40年以上も前に設定されたこの基準値については、導出に際して採用された仮定の過剰な保守性や使われた放射線防護上の知見の古さを指摘せざるをえない。日本保健物理学会放射線防護標準化委員会では、放射線防護の最新の知見に基づき、表面汚染に関する防護のガイドラインの検討を進めている。本報告では、検討にあたっての論点,検討の状況と方向性等を説明する。標準化委員会では、標準化体系における放射線防護の重要な概念の一つである「リスクに応じた防護」を適用し、原子炉施設,研究開発施設,病院等の現場で持ち出されている物品の現実に柔軟に対応できるガイドラインとしてまとめることを検討している。検討にあたっては、実際の持出物品とその汚染の可能性の様態として、物品の種類,物量,持出頻度,持出後の扱われ方などのほか、表面の性状(固着性汚染,遊離性汚染等),物品内面の汚染,放射化等にも着目する。また、IAEAの輸送分野で検討されている核種ごとの表面汚染限度値の導入については、その議論に注意を払っていく。
花屋 博秋; 清藤 一; 金子 広久; 春山 保幸; 金沢 孝夫; 小嶋 拓治; 須永 博美*
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放射線滅菌や高分子材料の改質をはじめとする放射線加工分野の拡大に伴って、放射線を安全かつ有効に利用するための工程及び品質管理の手段として線量測定は重要な基盤技術となっている。しかし、電子線の線量測定は、加速器の各種パラメータ,照射場における測定上の困難さなどの測定結果に影響を及ぼす因子が多く、さらに国際的にも電子線量標準の整備が遅れているなどから、各施設に共通した線量評価をすることが困難となっている。原子力機構高崎量子応用研究所では、0.52MeVの電子線について、熱量計,電子流密度測定器及び三酢酸セルロース(CTA)線量計による電子線量測定システムを既に開発しているが、今回これらを用いた線量校正にかかわる不確かさを求め、信頼性評価を行った。CTA線量計及びNPLのアラニン線量計に2MeV電子線を照射して測定結果を比較したところ、その差はいずれも2.2%で原子力機構及びNPLの線量校正の不確かさの合計2.0%(1)とよく整合した。この結果は、放射線プロセスレベルの電子線量についてもトレーサビリティシステムが整備できる技術的基盤を与えるものである。
河村 弘
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JMTRでの(n,)法によるMo-99製造プロセスを確立するに必要な照射ターゲット,照射装置及び照射後取扱い装置に関する検討状況及び今後の技術的検討課題などについて紹介する。現状の検討結果では、輸入量の約20%に相当する約1000Ci/週のMo-99の供給が可能となる。
室屋 裕佐*; 高橋 宏行*; 勝村 庸介; Lin, M.; 熊谷 友多; 工藤 久明*
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軽水炉内において冷却水は高い放射線場にあり、放射線分解で生成する酸化性生成物は構造材料の腐食促進の大きな要因となる。よって高温水の放射線分解反応を把握し制御することは重要である。分解生成物の中でも特にOHラジカル(OH)は強力な酸化性を持った重要な化学種である。しかしその性質や反応性は、200C以上についてはよくわかっていない。そこでパルスラジオリシス法を用いて、300Cまでの反応性や、OH解離反応(OH/O)のp 値を評価した。